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最近の消費行動

腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち (中公新書ラクレ)腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち (中公新書ラクレ)
(2006/10)
杉浦 由美子

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一昨日『腐女子化する世界』を読み終わった。読んでて面白いし、へーって思わさせるのだが、アマゾンのレビューなどを見ると評価が低い。だから、もしかしたら、この本の主張は、著者の独り善がりで、「腐女子」と呼ばれる人たちから見たら、納得いかないことが書いてあるのかもしれない。この本の後半は「腐女子」に関しての記述は減るのだが、もっと一般論として、現代日本の20代の女性像を描き出していてこっちも実は興味深かった。ただ、まあ、この部分もどこまで信じていいのかはわからない。個人的には、「ふーん、おもしろいね」って感じの記述が散見された。そのなかで、カタログ雑誌としての「CanCam」と題して、最近のファッション雑誌の特徴が挙げられていた。この著者の指摘が的を射ているのかどうかは定かではないのだが、とりあえず興味深い意見だとは思う。この著者によると従来の女性と現代の女性の間に見られる大きな違いはファッションの消費の仕方に見られるようだ。

 ・・・今でもバブル世代以上の女性たちが高級ブランド品を身につけたがるのに対して、先にも述べたように、若い女性は「一目見てどこのブランド」と分かるものを持つことを嫌がる。
 これはファッションや消費の中でも「個性を重視している」ということよりも「高級ブランド」という社会が権威づけているものに魅力を感じないからだ。
 単純に自分の審美眼で「センスが良いもの」を身につける、「センスが悪いものを排除する」、その結果、彼女たちは欧米の高級ブランドから遠ざかったのだ。(132ページ)



このような消費行動の変化はファッション雑誌などに顕著に見られると著者はいう。従来のファッション雑誌は、このような生き方がかっこいいというライフスタイルを提唱しながら、それにあったファッションを紹介する、あるいは男の意見を交えながら、男にモテるファッションを紹介する、といった感じだった。つまり「かっこいい女の生き方」や「男にモテるには」みたいな、なにかしらのメッセージが含まれていた。しかし、近年、人気の高い「CanCam」という雑誌はまったく違うらしい。

 つまり、『CanCam』には、斉藤美奈子の言う、「女の子の二つの出世の道」のどちらのライフスタイルも提唱されていないのだ。
 『CanCam』をめくるとその商品情報の量に圧倒される。読み物記事は少なくカラーページにぎっしりとモデルと商品の写真が並ぶ。一つのページに商品を来たモデルの写真、一つ一つの商品の個別の写真が大量に掲載されている。物、物、物の洪水だ。そこには「こんな生き方って素敵よね」的な、かつての女性誌が持っていたイデオロギーがない。(134-135ページ)



ようするに、商品だけを紹介して、メッセージ性を排除した紙面づくりをしているのだそうだ。このメッセージ性の欠如には「男性の視線」の欠如も含まれている。つまり、現代のファッションは男性に媚びるためのファッションではなく、自分たちが良いと思ったものを楽しむファッションなのだということだ。このような嗜好性は、ピンクハウスを着ていた少女たちにも見られたという。

 『ホントの宝塚がわかる本』(荷宮和子・廣済堂出版)は、かつてのオタク少女たちがピンクハウスを着ていた理由について、こう分析する。通常、女性にとって、お洒落は手段であり、男によく思われたいとか周囲から「普通だ」と思われたいなどの目的があるが、オタク少女たちはおしゃれを手段として考えていない。そのため、面白いと思ったからアニメ番組を録画するように「かわいい」と思ったからピンクハウスをきてしまう、と。
 このかつてのオタク少女たちと同じ心理で、今の若くキレイな女性たちも過剰なお洒落を楽しんでいる。そして、そこには日本のファッションをリードしているのは自分たちだという自負もある。
 もちろん、五九万部も売れている『CanCam』の読者も幅広い。しかし、「東京ガールズコレクション」に訪れるようなコアな層は完全に趣味としてファッションを選択し、オタク的な、それこそ、腐女子的な行動としてお洒落を楽しんでいる。
 自分のファッションや手入れが行き届いた髪や爪をみて、同好の仲間から「わ、かわいい。似合っている」と褒められること、それが彼女たちが欲している「承認」なのだ。
 仲間からの承認があれば、社会や、手の届かないセレブ男性たちからの承認など必要がないのだ。(138-139ページ)



つまり、オタクや腐女子とはまったく関係ない世界に生きているように見えるファッションが大好きな女性たちも、オタク的な要素が見られるということだ。いや、オタク的というよりも、ポストモダン的状況における消費行動が、オタクやファッション系といった垣根を越えて、さまざまな場面で見られるようになったというほうが正確かもしれない。

たとえば、ライフスタイルや生き方といったメッセージ性を極力排除して、商品の情報だけを紹介するカタログ的なファッション雑誌の紙面づくりは、東浩紀のデータベース型消費を思い出させる。つまり、データベースのようなカタログに登録された商品は、その商品に付与されている文脈から取り出して、裸の商品として消費する。例えば、高級ブランドには、従来、社会が与えてくれる権威などの文脈が付与されていたため、高級ブランドを持つことは社会的ステイタスが高いという「記号」を消化していたということになるのだが、そのような文脈から引き離されて、その高級ブランドが本来もっている、その商品の価値だけを消費するようになったということではないだろうか。それが、萌えなどとも通じる考えなのかもしれない。

さらに、自分のファッションをすべての人に理解して貰わなくてもいい、むしろ理解してくれる一部の仲間たちの承認だけがあればいいというような考えも、オタク的といえばオタク的なのだが、『わたしたち消費』で述べられているように、実はこういう考えはオタクに限らず、いたるところで、見られるようになってきたようだ。そこで重要なのは「わたしたち」と呼びあえる、ゆるい関係のグループである。そのような小さなグループの形成に、拍車をかけているのは、ネット上での情報交換であり、さらに言えばSNSなどの発達であろう。このようなグループは、何かが好きだというような集まりに限らず、自分たちの生き方や世界観を共有する人たちに広げられている。例えば、非モテといわれる現象も、このような時代の流れを反映しているような気がする。

こういう感じで、最近読んでいた本は、みんな同じようなことを言っているような気がする。もちろん、それぞれの著者はお互い影響しあっている可能性もある。特に「データベース型消費」という概念は、今の研究者だったら知っていて当然の単語であるはずだし、そうなると、それをもとに社会現象を見てしまうから、その結果、同じような結論が導き出されていても不思議ではない。ただ、ポストモダン的状況において消費行動が大きく変わってきたというところは確かだと思われる。そして、その傾向はオタク的消費において顕著に見られるというのも確かだろう。もし、そのようなデータベース型消費行動が、おたくにかぎらず、もっと一般的な若者の消費行動になってきていて、また価値観などを共有する仲間の存在が求められる時代になってきているのだとしたら、とても興味深いことではないかと思う。


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私は、保守主義のコミュニタリアンです。文化相対主義を追求するなら、すべての文化を尊重する保守主義しかないと信じています。ただリベラルと保守はある程度両立する概念だと思っているので、基本的にはリベラルでもあります。なので、自分としては中道右派ぐらいのつもりです。日本が好きです。時々右よりの発言をします。でも危ない人間ではありません。構造主義が好きなのですが、ポストモダンも好きです。あとマルクスも好きです。

専門は考古学です。地理情報システム(GIS)や統計学、空間分析、文化人類学(特に宗教人類学と経済人類学)、社会思想、進化考古学、景観考古学、人文地理学、数理生物、行動生態学などを勉強してきました。CRMや少数民族の文化復興運動についてもいろいろと考えています。最近はサブカルチャー特にオタク文化に興味があります。経済学は大の苦手です。

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