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「ガラパゴス化」

 「ガラパゴス化」という単語がある。俺がこの単語を初めて聞いたのは半年前の夏ぐらいだった。昔、進化生物学とかを勉強していたので、進化論の皮相的な解釈や誤解・曲解に敏感に反応してしまう。だから、このネーミングにも最初から嫌悪感しか抱けなかった。ガラパゴスの適応と大陸での適応のあいだには本質的な違いはないし、大陸に住んでいたとしても、それぞれの種は独自の環境に適応しているだけで、別に大陸の生存している種が極端に生存競争に有利な形質を持っているわけではない。つまり進化論的にみて、この「ガラパゴス化」という考え自体、大きな勘違いでしかないというのが、俺がこのネーミングを嫌いな理由だ。ただ進化論的解釈の問題点は、すでにネット上に書かれているようなので、今さら俺が指摘する必要もないだろう。今回はその語句の解釈ではなく、「ガラパゴス化」という単語が流行した社会的背景の問題点を指摘してみたい。つまり「ガラパゴス化」という単語自体にではなく、ガラパゴス化する日本の製造業などが問題だと指摘する声があがった、その批判の声があがった現象について考えたいと思うわけだ。なお「ガラパゴス化」という単語は嫌いだが、議論をするうえで必要な単語なので、とりあえず使っていく。

 ここで、先に言っておきたいのだが、実は、俺は経済学に関してまったくの素人だ。というか、ほとんど理解できていない。おそらく中学生レベルかそれ以下のレベルではないかと思う。そんな俺が経済について何かをしゃべれるはずもないし、考えることもできない。だから、「ガラパゴス化」ということを騒ぐ人たちの中で、「ガラパゴス化」という単語はまったく的外れの単語であることは確かなのだが、彼らの主張自体を俺が評価できるわけではない。これだけの人たちが「ガラパゴス化」という現象の問題点を指摘しているところを見ると、業種によっては確かに切実な問題なのだろう。世界に、ある技術を売り込んで標準化してしまっておけばよかったところを、その世界標準と違う技術に固執するあまり、世界に出て行くチャンスを逃してしまったなんてことは、経済学的には愚かな行為だ。そのような失敗は、日本の国力を下げてしまうことに繋がるかもしれない。だから「ガラパゴス化」と呼ばれている現象に警鐘を鳴らしている人たちを批判するつもりはないし、その資格もない。もう一度、先に言っておきたいことは、俺は現代社会の経済に関しては、ど素人なので、経済学的に見て、何が日本にとって大切なことなのかはまったくわからない。

 ただ、ちょっとだけ気になったのは、この「ガラパゴス化」という現象に警鐘を鳴らしている人たち(というかマスコミ)の論調をまとめると、次のようになることだ。「日本内部だけを見ていては駄目だ」「国際競争力をつけるために、外国に出て行かないといけない。そのためには、世界標準で勝負しないといけない」「島国根性ではグローバル時代を乗り切れない」このようなメッセージが読み取れるような気がする。つまりグローバル化を推進しようとするメンタリティーが透けて見えるのだ。

 これらのメッセージは、どこか懐かしさを感じる。「日本的経営では駄目だ」「グローバル化の波に乗り遅れてはいけない」「国際化の時代、世界で通用するためには、日本的な終身雇用ではなく能力主義を採用するべきだ」「アメリカでは会社を転々としながら自分の能力を売り込んでいるらしい。日本もどんどん転職していくべきだ」。。。
 そう、1990年代によく言われたメッセージに似ている。当時、バブルがはじけて、急にグローバル化を推進しようとする機運が高まった。右派系のメディアも左派系のメディアも口を揃えて「世界標準に合わせろ」というような改革路線を訴えていたような気がする。そして日本的経営(護送船団方式と終身雇用以外に何があるのか俺はあまり理解できていないが)というものが、すべての元凶であるかのように主張していた。ところが、2000年を過ぎると、急に格差社会ということが言われだして、90年代に元凶とされていた日本的経営が見直され始めているだとかなんだとか。

 ちょっと冷静になって考えると、「ガラパゴス化」で世界基準にしないといけないとか言っているのは、90年代の状況に似てはいないだろうか?そして、その根底に流れているメンタリティーというか共通認識としては、日本的なものは全てだめで、国際標準に合わせないといけないという考えのように思う。経済活動とかが議論に入ってくるので、ちょっとややこしくなってくるが、無理を承知でこの問題を単純化したら、このような世界標準にするべきか、しないべきかという議論は、右派と左派の対立ではなく、リバタリアンとコミュニタリアンの対立と捉えるべきだろう。ここでリバタリアンとコミュニタリアンを簡単に説明すると、コミュニタリアンとは共同体を尊重する考えで、リバタリアンとは個人の自由を重視する考えである。そして、さっき言ったように90年代に右派も左派も共に同じように国際化を叫べた理由は、彼らが共にリバタリアンだったからだ。
 右派=保守主義と思われがちだが、保守主義というのは本来はコミュニタリアンなのである。しかし日本では、なぜかアメリカの保守主義であるネオコンを保守主義だと勘違いしている人がいる。そのイメージでいえば確かに保守=リバタリアンとなる。
 他方、リベラルとリバタリアンの違いがわからずに、リバタリアンなのに自分はリベラルだと勘違いしている左派の人たちがいる。こういう人たちも単なるリバタリアンだから、もちろんグローバル化を支持しているわけだ。ついでに言うと、左派系の人たちの中には、マルクス主義を引きずっていて、未だに共産革命という夢を捨てきれずいる人もいるのかもしれない。本来なら、もはや世界革命なんて時代遅れだろうって若い人に馬鹿にされて終わりになるはずだったのに、都合のいいことに、国際化や異文化共生社会などという美辞麗句が飛び交う夢のようなポストモダンの時代が来てしまったもんだから、これ幸いにと、日本だけでなく世界的な国家解体をも可能にするグローバル化に賛同してしまう。グローバル化は、彼らの好きなポストモダンの思想と矛盾しているということには気が付かないのか、気づかない振りをしているのか。。。
 まあ、どちらにせよ、ようするにこの問題では右派も左派もなくて、あるのはリバタリアンか否かってことが重要になってくるわけだ。リバタリアンは自由を追求しているから、国家の制約はなるべく避けたい。だから、国家の保護が必要ないぐらいに強くなったら、国家自体意味のない存在になってしまう。むしろ邪魔な存在になるだろう。こうして世界システム論がいっているように、世界は一つの資本主義のシステムに包摂されてしまったわけだ。(まあ、国家を超えて金持ち同士の横のつながりが強固になっていけば、いつか、その社会的矛盾に、マルクスの出番があるのかもしれないが・・・)。とりあえず、ここで言いたいのはグローバリゼーションとかグローバル化という問題は、右派と左派の対立では理解できない。そうではなくてリバタリアンとコミュニタリアンの対立だと考えている。そして、その根底には次のような価値観の違いがある。

 つまり「ガラパゴス化」は問題だといって騒いでいた人たちと、「ガラパゴス化」はむしろ独自の文化や作品を作り出すことに貢献していると擁護していた人たちは、「普遍主義」と「地域主義」の違いではないかと思うのだ。リバタリアンの人が持っている価値観を普遍主義とここでは呼びたいのだが、これは世界には普遍的な価値観があり、世界中の文化などはどんどん均質になっていくべきだみたいなノリだ。これを推し進めると、グローバル化で自由と民主主義と資本主義を友愛の精神で広めましょう。とかいうノリになってくる。まあ、ようするにグローバリゼーションとかアメリカナイゼーションを支持する人たちだ。お金儲けをするためにどんどん海外に工場作って稼ぎましょうとかも、この人たちだよね。彼らには、そういうことで罪悪感なんてない。だって彼らは弱肉強食を生き残ってきたわけだから、昔の悪名高き社会進化論みたいに、強いものが残る、適者生存の法則というやつだ。つまり弱いものは怠けているから弱いのであって、がんばればいい。ただそれだけのこと(←ハンターハンターのプフみたいに読んでくれ!)。となる。(あ、ちなみに、俺はリバタリアンとか資本主義とか嫌いだから、リバタリアンに関しては、相当誇張して悪く書いてます。リバタリアンに関してはちゃんと調べて判断してください)

 他方、コミュニタリアンの持っている価値観を、ここでは地域主義と呼びたい。これは何かと言うと、弱者は社会が守りましょう。皆で助け合いながら暮らしましょう、という考えである。これが実は本物の保守主義という考えだ。なお、保守主義やコミュニタリアンの理念・理想というものは、共産主義の理念・理想と限りなく近いと考えている。だからこそ、昔の社会は原始共産主義と呼ばれるのだ。ただしマルクスは原始共産社会に時間を戻そうと考えていたわけではない。彼は資本主義の次にくるものとして国家単位(最終的には世界単位)の共産主義の共同体を想定していた。だから保守主義と共産主義は微妙に違うし、念のために言っておくと、俺はマルクスの理論には共感するし大好きなのだが、共産主義者ではない。(というか、俺は保守主義のコミュニタリアンです)

 まあ、そういうことなので、「ガラパゴス化」の議論だと、日本人は内向きになってしまう、もっと外に出て行かないだめだみたいなノリに見えるし、「パラダイス鎖国」なんていう単語もあるらしいが、「開国か?」「鎖国か?」と聞かれたり、「内向きか?」「外向きか?」と聞かれると、確かに俺も外に目を向けないといけないなと思ってしまう。明治にがんばって開国してくれたから日本は植民地にされなくて済むんだんだのは確かだ。だから、鎖国と開国どっちがいい?って聞かれたら、迷わず鎖国より開国したほうがいいっていう話になってしまう。ただ、これらの議論で注意しないといけないのは、「鎖国」とか「内向き」という単語にネガティブなイメージが付与されている可能性が否定できない点だ。

 同じ議論でも、「グローバリゼーションか?」「反グローバリゼーションか?」、「モダンか?」「ポストモダンか?」、「二十世紀的発想か?」「二十一世紀的発想か?」、「文化帝国主義か?」「異文化共生社会か?」と聞かれたりしたらどうだろう?それじゃなくても、もしもあなたが異文化共存を望むのであれば、または多様な価値観を尊重するポストモダンを支持するのであれば、はたまたグローバリゼーションによって貧しい国が摂取されている現状を憂いているのであれば、まちがってもグローバル化がいいなんてことは言わないと思う。

 文化多元主義というのは、簡単に言ったら、文化の多様性を守ろうという考えで、言語の多様性とか生物の多様性と同じように論じられるべきものだ。文化や言語の多様性というのはグローバル化やネットの普及によって危険な状態にあると思われる。もちろん今すぐに文化や言語が一元化されるとは思わない。ただハリウッド映画やアニメなどの影響によって価値観などは均一化の方向に動いている気がするし、テクノロジーの発達とともに、文化や言語自体も均一化していくのかもしれない。それをどのように防ぐのかというのことが、今後の課題になっていくのではないだろうか。もしそうならば、「ガラパゴス化」という現象は、10年後20年後、独自の技術や文化を維持・発展させる現象ということで評価されるべきことになっているのかもしれない。

 実はさっき東浩紀のラジオトーク番組というのを聞いていた。で、その内容が今回の「ガラパゴス化」と少し重なっている部分があったので、次回はそのラジオトーク番組について書きたいと思っている。そのトーク番組の動画はニコニコ動画にアップされているので、次回アドレスを紹介したいと思っているのだが、とりあえず、次回の予告みたいな話を簡単にしておきたい。
 そのラジオトークのなかで東さんは「1Q84」という数ヶ月前に出版された村上春樹の作品について簡単に批評している。そして、そのなかのテーマが、ここで言っている「普遍主義」と「地域主義」なのである(彼はこのような単語はつかっていないが)。そして、それは漫画やアニメなどが、なぜ世界に受け入れられていったかという理由になっている。俺としては、同意できない部分もあるわけだが、現代の大量消費社会が生み出した「地域性を越えた普遍性」という考えは興味深い。ということで、そこらへんについて次回は書きたいと思う。とりあえず、疲れたので、次回に続く。


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私は、保守主義のコミュニタリアンです。文化相対主義を追求するなら、すべての文化を尊重する保守主義しかないと信じています。ただリベラルと保守はある程度両立する概念だと思っているので、基本的にはリベラルでもあります。なので、自分としては中道右派ぐらいのつもりです。日本が好きです。時々右よりの発言をします。でも危ない人間ではありません。構造主義が好きなのですが、ポストモダンも好きです。あとマルクスも好きです。

専門は考古学です。地理情報システム(GIS)や統計学、空間分析、文化人類学(特に宗教人類学と経済人類学)、社会思想、進化考古学、景観考古学、人文地理学、数理生物、行動生態学などを勉強してきました。CRMや少数民族の文化復興運動についてもいろいろと考えています。最近はサブカルチャー特にオタク文化に興味があります。経済学は大の苦手です。

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