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「ガラパゴス化」(3)-漫画・アニメの日本的要素とは-

 まず先日までの論点をはっきりさせておきたい。漫画やアニメが世界に受け入れられた理由は、その無国籍性にあるのだろうか?それとも日本的だからこそ世界に受け入れられたのだろうか?もしも前者ならば、世界に受け入れられるためには、なるべく日本的なものを排除していくべきだということになるであろう。つまり普遍的なものを追求していくべきであるという「ガラパゴス化」に警鐘を鳴らす人と似た論理になると思われる。他方、もしも漫画やアニメが日本的だから世界に受け入れられたとするならば、独自の発展を遂げたものこそ世界に受け入れられていくのではないかということになる。この普遍主義に対する地域主義は、ファーストフードとスローフードの対立に似ているように思う。
 さて、それでは、漫画やアニメに日本的なものなのだろうか?俺は漫画やアニメには日本的な要素が十分表現されているだと思っている。ただ俺は、人並みには漫画などに親しんできたとはいえ、新しい漫画はほとんど知らないし、また膨大な漫画の中の一部しか知らない。だから、ここで取り上げている漫画は恣意的に選ばれているし、述べてることも俺の主観的な解釈にすぎないと思われるかもしれない。それはそうだろう。そうなんだから(笑)。でも、俺としても、どうしようもない。これ以上の知識は今持ち合わせていないのだから。まあ、そういうことなので、反論とかをされても何も言い返せないので、同意できる人だけ同意してください(笑)。あと論争するつもりはまったくないが、俺としてはいちお正しいと思っている事柄なので、すべて正しいとは言わないまでも、真実のある一面ぐらいは照らし出しているつもりだ。だから、もし今、同意できなくても、こういう見方もあるのかという感じでこれから漫画を見ていって、いつかどこかで、こいつの言ってることも一理あるかもなとか思っていただけると幸いです。

 まず日本的ではない漫画をいくつか挙げてみたい。例えば、宇宙を駆け巡るSFアクションの『コブラ』という漫画がある。1980年代に流行った漫画なのだが、この漫画は日本の漫画というよりも、アメリカンコミック(アメコミ)に近い印象を受ける。まずそのキャラクターの絵がアメコミを想起させる。女性キャラクターのプロポーションや服装なども日本の漫画と比較すると異質な存在であった。しかし、それ以上に思想的な面でアメコミのようなオウラを放っていたような気がする。『コブラ』を描いた寺沢武一さんは、日本の忍者と妖魔の戦いをSF風に仕上げた『鴉天狗カブト』や、近未来の東京が舞台の『ゴクウ』なども描いているが、どちらも日本的な雰囲気がないのである。ここでも「絵」がアメコミ風だからという解釈もできるのだが、やはりもっと根本的なところで日本的ではない何かを持っているような気がする。

 もう一つ無国籍風の漫画を紹介したい。それは、『ブラックラグーン』という漫画だ。この漫画は東南アジアの架空の町を舞台に海賊やマフィアなどの戦いを描いた漫画で、主人公を除いてはほとんど全員外国人である。町には中国系マフィア、ロシア系マフィア、イタリア系マフィア、CIAや南米のテロリストなど様々な人種が入り乱れており、東南アジアの蒸し蒸しした雰囲気と無国籍な雰囲気がミックスされたような漫画だ。この漫画はいくつかの短編ストーリーになっている。その中で日本という国が関係してくるストーリーもあるにはあるが、通常は日本というものをほとんど感じさせることがない。主人公の日本人の男もロックと呼ばれており、日本人ということはあまり出てこないような気がする(ただしロックの平和主義の理想論は十分日本的だが)。

 最近の漫画では『鋼の錬金術師』や『ハンターXハンター』がある。『ハンターXハンター』は忍者や寿司、サムライが出てくる場面はあるが、他のほとんどの部分では日本的な要素は出てきていないと思われる。『鋼の錬金術師』においては、そもそも日本自体が出てこない。東洋世界というものは出てくるのだが、それは古代中国を模しており、日本ではない。似たような話で『海皇紀』という漫画がある。この漫画においても日本刀というもの以外は日本を示唆するものがない。東洋と西洋という異なる文化は登場するが、東洋はモンゴルの遊牧民を彷彿とさせる社会であって日本ではない。つまりこれらの漫画では日本的な要素は極力排除されており、十分、無国籍風である。東洋と西洋という二つの文化圏が登場することはよくあるが、日本的というよりも、中国など日本以外の東洋や、もっと曖昧な「東洋風」といった雰囲気だけの場合が多いような気がする。

 さて、このように見てくると、確かに無国籍風の漫画やアニメは枚挙に暇がないのであるが、それでも、個人的には『コブラ』などの寺沢武一の作品と、他の作品では大きな違いがあるように思われる。つまり寺沢武一の作品はアメリカ的であるのに対し、ここであげた残りの作品は、無国籍風でアメコミ風の『ブラックラグーン』や日本文化の要素がまったく登場しない『鋼の錬金術師』も含めて、どこか日本的な漫画・アニメに見えるのである。その違いはどこなのだろうか?

 おそらく、そこには日本人が好むキャラクターとアメリカ人が好むキャラクターという区別があるのではないだろうか?『コブラ』をはじめとした寺沢武一の作品は極めてアメリカ受けするハリウッド的キャラクターであるように思われる。キザな台詞を恥ずかしげもなく言い、そのキザな台詞を笑いに持っていくようなオチはない。主人公のコブラは徹頭徹尾かっこよく決めている。そして女性受けもよく、また女性に対して禁欲的な態度も取らない。コブラは三枚目という設定だが、コブラもゴクウもともに、ジェームズボンドを思わせるかっこよさなのである。

 一方、日本の漫画では、内気な男の子や、喧嘩は強いが女には弱い、例えば『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』に出てくる井尻又兵衛のような男が主人公になるのであって、コブラのようにキザで軽い男のキャラクターが主人公というのはあまり見かけない。コブラと同じような軽い男が殺し屋を演じる『シティーハンター』でも、冴羽りょうは槇村香への純粋な恋心を秘めているという点において、十分日本的である。というか、冴羽りょうや『ルパン三世』のルパンのように、「本心を見せない」キャラクターが、日本人のもっとも好むキャラクター要素だと思う。つまり軽い男の振りをしているのである。

 このような軽い男の振りをして、実際は硬派に生きるという男の美学は、ハリウッド映画では殆ど見られないと思う。もちろんコブラにも、ほとんど見られない(ただし『コブラ』においてもレディとの純愛は日本的な感情なのかもしれない)。ハリウッド映画での硬派な男性像が見れる映画としては西部劇の『シェーン』や、バイカーにさらわれた昔の恋人を取り戻すために戦いを挑む『ストリート・オブ・ファイヤー』などだが、これらのヒロイズムには日本的な禁欲主義というものは見られないような気がする。というか、禁欲的な美学というものが、ハリウッドでは一般的ではないような気がする。加えて、基本的には「本心(正体)を隠す」というものはアメリカではあまり見られないと思われる(ただし、バットマンの最新作では、あえて悪者として生きるダークヒーローとして描かれている。これは、漫画・アニメの影響ではないかと考えている)。

 さて、本心を見せずに、くっつきそうでくっつかない片思いの純愛という設定は漫画やアニメでは定番であるが、それは『ブラックラグーン』のレヴィにも見られる。レヴィは銃の使い手で戦闘に関しては右に出るものはいないのであるが、ロックという優男への想いは中学生の少女なみに純情である。つまり喧嘩は強いが女には弱いというヒーロー像の逆バージョンであるといえる。これがハリウッドだったら、『エイリアン』のリプリーのように、「女をまったく感じさせず、男を必要としない自立した女性」か、『トゥームレイダース』のララ・クラフトや『バイオハザード2』のバレンタインのように「セックス・シンボル的な魅力を持ち、恋愛シーンがなかったとしても、彼らが大人の恋愛をしているということは容易に想像がつくような、ある意味、大人の女性」かの2つのタイプの女性キャラクターしかない。『ブラックラグーン』のレヴィは、そのどちらにも属さない。もちろんロリコン趣味の少女キャラでもないのであるが、十分、自立した女性として描かれる一方、恋愛に関してだけ奥手の女性として描かれている。

 このような奥手の女性というイメージは『鋼の錬金術師』にも見られる。例えば、この漫画のファンの間で大変人気の高いホークアイ中尉などは、強い女性でありながら、マスタング大佐という男性キャラクターを陰から支える女性であり、彼への恋心は胸の奥にしまっている。ウィンリィなどの他のキャラクターも同じような感じだ。なぜならこのアニメで恋愛におちいるキャラクターはほとんどいない。夫婦や恋人という設定で登場したキャラクター以外は、すべてのキャラクターがずっと片思いを貫いていると思われる。『鋼の錬金術師』では主人公のエドも、恋愛には疎い男の子として描かれているのも、日本人好みのキャラクターであるからだ。
 さらに、『鋼の錬金術師』では、ほとんどのキャラクターが、ボケる。シリアスな場面でのボケは、アニメや漫画でよく見られるわけだが、俺の個人的な感想としては、十分日本的だと思う。というのも、このようなボケはかっこよくなりすぎるときにわざとボケるのであり、それはかっこいいキャラクターが本当にかっこいいだけのキャラクターになる前にボケて人間味を回復していると思われるからだ。ハリウッド映画のように完璧なかっこよさを追求するのではなく、むしろ弱さや愚かさを出すことによって親しみを覚えるという展開は、漫画やアニメに限らず、日本人なら日常生活においてもよく見られる行為ではないだろうか。アメリカに来るとわかるが、パーティーなどでは、ひたすら、かっこだけをつけて徹頭徹尾キザで居続けるアメリカ人というのが結構いるのとは対照的だと思う。

 本当はもっといろいろな部分で日本的要素が見られるというのを指摘したいのであるが、アニメなどをもっとチェックしないと思いつかない。ただ、理由はわからなくても漫画やアニメが日本的だと感じるのは、いろいろな場面で日本的美徳や日本人が好むキャラや展開が描かれているからだろう。町の風景や日本人キャラが出たとか出ないというものは重要ではないのだ。
 アメリカのテレビドラマで『バフィー・ザ・バンパイヤー・スレイヤー』と、そのスピンオフ番組である『エンジェル』というドラマがあった。この二つのドラマは日本で放映されていないものも含めて、すべてのエピソードを俺は何十回と見たので、おそらく日本人の中で一番詳しいのではないかと思っているのだが、これらの作品の感想を一言で言わせてもらうと、とても漫画・アニメ的であるということだ。登場人物はほとんどが白人だし、日本文化などというものは殆どまったく出てこないのであるが、それでも日本的な何かを感じてしまった。そして俺の勝手な解釈だが、このドラマの監督は漫画かアニメの影響を受けているのではないかと思ってしまった。つまり日本的要素を取り入れれば、白人が登場する実写版のドラマですら日本的な作品に感じることができるのではないかと思うのだ。同様に、バットマンの最新作など、最近のハリウッド映画では漫画・アニメ的作品が多くなってきたように思う。

 このように、日本の漫画やアニメは十分日本的なメッセージを含んでいる。そして、それらは日本で発達したものであり、日本以外の場所で漫画やアニメの「絵」を真似したとしても、その根底を流れている日本的なものはすべてすくい上げることは容易ではないだろう。もちろん、他の国で製作された漫画やアニメはその国の文化を反映して興味深いものが出来上がるのであろうが、それはここでの議論とは直接関係がない。ここで言いたいことは、漫画・アニメは日本で発達したものであり、その日本的な部分に反応して世界に受け入れられたということである。だからこそ、世界中のアニメファンは日本に興味を持ち、秋葉原に来るのであろう。アメリカの大学の日本語の授業でも、多くのアメリカ人がアニメから日本文化に興味を持ち、日本語を勉強するようになったりする。もちろんすべてのアニメファンが日本文化を好きかどうかはわからない。日本という国を意識せずにアニメを楽しんでいる人もいるかもしれない。ただ漫画・アニメはその無国籍性というよりも、日本的であるが故に、世界に受け入れられていったような気がする。


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何かすごいので
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TBしてくださってありがとうございます

あまりTBの仕組みとかわかっていないのですが、TBは、これが初めてなので、とても嬉しいです。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
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私は、保守主義のコミュニタリアンです。文化相対主義を追求するなら、すべての文化を尊重する保守主義しかないと信じています。ただリベラルと保守はある程度両立する概念だと思っているので、基本的にはリベラルでもあります。なので、自分としては中道右派ぐらいのつもりです。日本が好きです。時々右よりの発言をします。でも危ない人間ではありません。構造主義が好きなのですが、ポストモダンも好きです。あとマルクスも好きです。

専門は考古学です。地理情報システム(GIS)や統計学、空間分析、文化人類学(特に宗教人類学と経済人類学)、社会思想、進化考古学、景観考古学、人文地理学、数理生物、行動生態学などを勉強してきました。CRMや少数民族の文化復興運動についてもいろいろと考えています。最近はサブカルチャー特にオタク文化に興味があります。経済学は大の苦手です。

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