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ウェブ版新聞と紙面版

 今日の産経新聞におもしろいコラムが掲載されていた。副編集長の小塩さんという方が書いたコラムなのだが、「ネットと紙面の日替わり」という題名でウェブ版の新聞と紙面の違いみたいなことを書いている。小塩さんはネット記事の編集にたずさわる一方、月の半分は紙面の編集もされているようだ。そこでネットの記事と紙面の記事の違いについて次のように述べている。

 ニュースに追いまくられ、新聞の紙面作りが本格的に始まる夕刻。気がつくと、サイトにはその日起きた経済ニュースがほとんど掲載され、人々の目に触れている。”既報”となったニュースを明日の新聞に載せることになるというわけだ。

 もちろん、すべての人がネットからニュースを入手しているわけではない。ただ、経済ニュースは、株をはじめ、市場に影響を与えるという意味でも鮮度が命だ。その情報を本当に必要とする人に、翌日の紙面のニュースには、もはや価値はない。

 「新聞なんて必要ない」と自己否定しても何も始まらない。明日の仕事は紙面の編集だ。

 紙面編集の仕事は、ある意味でサイトとは正反対。ニュースをどんどん捨てていくことから始まる。サイトにはスペースの制限がないが、紙面にはすべてのニュースを載せられない。どのニュースを一面に売り込み、経済面のトップ記事は何にするのか。ニュースに優先順位をつけていく。

 「速さ」と「量」がサイトの命とすれば、何を伝えるべきか、「選択」することが価値を生む。情報が持つ意味は?どんな影響がある?裏側に潜む狙いは?ニュースに付加価値をつけていく。編集者と現場記者の腕の見せどころだ。

「ネットと紙面の日替わり」 5月20日付 産経新聞紙面



 確かにネットではスピードと量が勝負になってくるのだろう。一方、紙面では情報に格付けすることが重要になる。オレはアメリカにいたこともあって、実は長いことネット新聞に依存していた。だから、一つ一つの記事を読むという事に関しては、ネットの方が読みやすくなってしまっていた。まあ、慣れだとは思うが、文字の大きさを大きくしたり、両手が使えたりと、個人的にはネットで新聞記事を読むほうが楽だと思う。

 しかし、ネット新聞にはいろいろな問題点もある。まず、情報がフラットになりすぎているということだ。どの情報が重要でどの情報は重要でないのかがわからない。人気記事ランキングなどもあるにはあるが、それは重要度とはまったく異なる基準で選ばれている。例えばセンセーショナルな事件や芸能人・有名人の犯罪などワイドショー程度の情報が一番人気のある記事になってしまうからだ。

 ウェブ版のもう一つの問題点として、重要な情報を受け取れない危険性が常にあるということが挙げられる。新しい情報が大量に書き込まれていく新聞社のウェブページでは、そのウェブ版に常駐してチェックできる特別な人たちは別にして、一日に何度かチェックする程度の人では、数時間の間に重要な記事が書き込まれ、その後にたわいもない記事が書き込まれることによって、重要な記事を見逃してしまうということが生じるだろう。RSSなどによってチェックが出来ると考える人もいるだろうが、RSSに依存してしまうと、RSSに登録していない(もともとは興味のなかった分野)の情報にはいつまでたってもアクセスできないという不都合が生じてしまう。つまり重要な情報を逃してしまう危険性が高いということだ。

 このような問題点の解決策としては二つの方向性が考えられる。一つは「あらたにす」のように、その日の紙面の一面や社会面・社説などに何が書かれているのかということをまとめて紹介するという方法だ。「あらたにす」はさらに日本経済新聞・読売新聞・朝日新聞という3紙をいっぺんに表示することで、3紙を比較することができるという試みを行っている。その比較も重要なのだが、ここでは、この紙面の記事を載せているという事実に注目しておきたい。これによって一日のうちのどの時点で「あらたにす」を開いても、その日の(正しくは前日の)重要な記事を見逃さずに知ることができる。それは朝みても、夜見ても同じである。新しいが重要度の低い記事にかき消されることはない。その点で、ウェブ版よりも優れているだろう。

 しかし産経新聞の紙面配信はそれよりも優れているとオレは思う。もちろん産経新聞の紙面版は他紙と比較するというような事ができないため、「あらたにす」と産経新聞紙面版を単純に比較することはできない。ただ「あらたにす」では重要な記事だけがピックアップされているだけなので、例えば一面に書かれている三つの記事は等価に映ってしまいがちだが、紙面版では一面の中でも大きさや配置で重要度が容易に分かる。

 さっきも言ったようにオレは長いことウェブ版に慣れきってしまっていたのだが、最近、産経新聞の紙面をiPhoneで読むようになって気付いたことは、やはり紙面は読みやすいし、読むのが楽しいということだった。紙面版の構成などは、ある意味芸術に近いのではないかと思ってしまう。素人が見ているだけなので、偉そうなことは言えないが、それでも、いろいろ考えられているなと思うときがある。このような紙面版を読んでいると、やはりネットでは表現できないものがあるのだろうという気になってくる。

 最近の論調では将来新聞業界は情報収集だけが仕事になり、情報の考察や批評といったことはフリーのジャーナリストやブロガー、研究者などの独壇場になるのではないかと言われてきた。確かに新聞業界の偏向報道などを見ていると、そういう可能性も否定できない。しかし、紙面版を見ていると、新聞社の重要性は、情報収集だけでなく、情報を厳選し、それらの情報をいかに表現していくかということにも、専門的な知識が必要になっていることがわかる。ネット空間でのフラットな情報発信だけでは決してカバーできない部分があって、それは新聞社などの専門家にしか出来ないことなのかもしれない。

 さらに同じようなことは、他の情報においても言えるのではないだろうか?ネット上では、ほとんどの情報がフラット化してしまっている。検索機能を使えばアクセス可能だからフラット化していても問題ないという考えも理解できるのだが、ある程度の道標はやはり必要だろう。特に検索することすらできない初心者にとっては、専門家による情報の整理が必要になってくる。そのような整理によって、始めて効率的な情報伝達が可能になる。さらに紙面版のように情報発信にも工夫が必要になってくるのではないだろうか。新しいエントリーを積み重ねるように保存していくブログのような情報発信の手法は、すべての情報をフラットに発信するウェブ版の新聞と同じように見える。紙面版のように空間的配置や構成などに工夫を凝らすことで、もしかしたら新しい情報発信の形が生み出されるかもしれない。もしそうならば、ブログではなく、昔のホームページのような空間的な自由度が必要になってくるだろうし、そうなって初めて、情報価値の順位付けが伝わるのではないかと思うのだ。そのあたり、これからのネットの発展と関連させて、いろいろ考える余地があるように思う。



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私は、保守主義のコミュニタリアンです。文化相対主義を追求するなら、すべての文化を尊重する保守主義しかないと信じています。ただリベラルと保守はある程度両立する概念だと思っているので、基本的にはリベラルでもあります。なので、自分としては中道右派ぐらいのつもりです。日本が好きです。時々右よりの発言をします。でも危ない人間ではありません。構造主義が好きなのですが、ポストモダンも好きです。あとマルクスも好きです。

専門は考古学です。地理情報システム(GIS)や統計学、空間分析、文化人類学(特に宗教人類学と経済人類学)、社会思想、進化考古学、景観考古学、人文地理学、数理生物、行動生態学などを勉強してきました。CRMや少数民族の文化復興運動についてもいろいろと考えています。最近はサブカルチャー特にオタク文化に興味があります。経済学は大の苦手です。

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