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Instagramを考える2

 今日も引き続きInstagramの話をしたいのだが、昨日も言ったようにInstagramの特徴は2つ。一つ目は写真をアップする手間が極端に簡略化されたことだ。デジカメで写真を撮り、それをPCに移して写真を加工し、iPhoneに移して、そっからInstagramにアップするという従来の方法ももちろんあるし、そういう方法で芸術的な写真をアップしている人も多いのだが、iPhoneだけでも事足りるという点がInstagramの重要な特徴だと思う。デジカメもPCも必要ない。つまりiPhoneを持ち歩いていて、ちょっと気になったものが目に入ったら、iPhoneで写真を撮り、Instagramで写真を加工し、そのままアップできる。その間、ほんの1分程度。この手軽さはiPhoneというか、スマートフォンならではだろう。

 この手軽さがInstagramの魅力の一つだと思うのだが、もう一つ見落としてはいけない点として、昨日も言ったように、写真を加工するということに関してパラダイムシフトが起こったということが挙げられる。写真を修正・加工するということに俺が注目する理由は、写真を撮る人たちにとって修正・加工するという行為は踏み込んでは行けない禁断の果実のような領域だったと俺は考えているからだ。

 そもそも写真の世界の魅力とは、いかにすごい写真を撮るかということだと思う。一眼レフを触ったことのある人ならわかると思うが、見たものを見たままに写真に撮るということだけでも、実は結構大変だ。山の頂上から見た雄大な景色を写真に撮ったのに裏山から撮ったような何の変哲もない風景になってしまったとか、空を真っ赤に染める綺麗な夕焼けを撮ったら薄暗い空しか映っていなかったとか、真っ青な南国の海を撮ろうとしたらオートフォーカスがガチャガチャしてピントが合わずシャッターが切れなかったとか、真っ白な雪山を撮ったつもりが灰色の世界になっていたなどの経験をしたことがある人もいるだろう。見たままを写真に写しこむということだけでも結構大変でカメラや写真の知識を要する。もちろんカメラに内蔵されているプログラム機能で夜景モードとかポートレートモードとかを使うことはできる。しかし完全に自分の思い描いたとおりの絵を作り出すためにはISOやシャッタースピード、絞りの機能を理解し使い分けられないといけない。特にシャッタースピードと絞りを、いかに上手く使いこなせるかは写真の基本であり、醍醐味でもある。もちろん、写真には他にも知っておくべきことがたくさん。例えば、写真の構図やフラッシュのたきかたなどに関しての基礎的な知識は重要だろう。望みの構図を手に入れるためには広角レンズや望遠レンズを使いこなせることも必要になってくるだろう。さらにフィルターを使って、望みの色彩を手に入れたいと望むようになるかもしれない。簡単に言ってしまえば、写真と撮るという行為は、被写体を探し適切なレンズやフィルターをセットし、構図を決めてピントを合わせ適切な絞りとシャッタースピードで被写体を撮るという行為に他ならない。それに加えて現像室での焼き付け方なども必要になってくるだろう。つまり写真とは現実にある被写体を切り取ってきて自分の編集・加工を加えた世界を描く行為だといえる。

 さて、写真を撮る行為が編集と加工という行為ならば、写真を加工するということに、別段、拒否反応を示さないんじゃないかと思うかもしれないが、おそらくそれは間違いだ。そもそもフィルムの時代には写真は現像するまで、どのような写真になっているかわからなかった。だから一回きりのチャンスで思ったとおりの写真を撮れなかったら、修正は極めて困難になる。だからこそ、シャッターを切る瞬間というのが、とても神聖な瞬間になっていたし、いい写真が撮れたときの感動も大きかったのだ。そして、そのような困難な作業だからこそ、カメラが好きの人たちは、自分の技量に誇りを持てる。逆に言えば、そのような技の競い合いをする場に、「ずるい」ことをする行為はご法度だ。今はどうか知らないが、ちょっと前まで写真コンテストはフィルムでないと駄目だったし、たしか加工してはいけないという注意書きがあったと記憶している。いまでもフォト蔵などの写真共有サイトでは、写真好きの人たちが綺麗な写真を並べているが、ほとんどの写真は自然な感じで、加工などは施されていないような写真ばかりだ。もちろん加工している人もいるだろうし、またプロの世界ではPhotoshopなどを昔から使って写真を加工していた。しかし多くの素人写真マニアの間では、おそらく写真を加工するという行為はどことなく後ろめたい気持ちが付きまとっていたのではないかと思う。

 このような感覚が薄れてきた理由として写真を撮る人の層が変わってきたことが挙げられると思う。つまり安価で簡単な操作ができるカメラや使い捨てカメラがこの30年余りで世界中の隅々にまで普及したからだ。写真やカメラの技術には興味はないが、写真を撮ることは好きという人たちが増えたということ。彼らにしてみれば、撮れた写真という結果だけがすべてであり、写真を撮るという行為には興味がない。だから、最終的に仕上がった写真が綺麗でかっこよければそれだけで十分なのだ。

 また、加工技術が発達してしまった今、その写真がどのように撮られたのか、どのように出来上がったのかということは重要ではなくなったのかもしれない。大変な思いをして撮った写真も、合成写真も、結果としての写真が同じレベルなら、その写真の価値は同じだということになってきたのかもしれない。このあたり、データベース消費という概念と似ているかもしれないだろう。それぞれの写真のバックグラウンドの情報は必要ない。その写真を見て感じた断片的な情報だけに価値が置かれており、撮った人や撮った経緯に関しての情報はほとんど重要ではなくなってきている可能性がある。(ただし次回に書くようにInstagramでは、撮った人の情報は残されている)

 話をもどすが、写真を撮るという行為から写真自体に焦点がシフトしてきたのだと思う。つまり、昔なら写真を鑑賞する人は、写真を撮るという行為を知っていたために、写真を見て、その写真がどのように撮られたのかということに思いを巡らせることができたし、そのようなことも加味して評価を与えることが出来た。しかし今では写真撮影者も写真の鑑賞者も、写真が綺麗かどうかだけしか判断基準がないのだ。このようなメンタリティが写真を加工するということに抵抗を感じさせない要因ではないかと思う。

 さらに、もう一つ、このような傾向に拍車をかけたのがiPhoneの存在だろう。他の日本の携帯電話はデジカメ並みの画素数を誇っているようだが、iPhoneは3GSまで画素数が少なくフラッシュ機能も望遠もない、10年か15年前の初期型デジカメ程度の性能しかなかった。だから、もともと綺麗な写真を撮るという行為がほとんど不可能な世界だった。それを逆手にとって、遊び系の写真加工という方向が模索されていった。つまりiPhoneで写真を撮るという行為は、綺麗な写真を撮るのではなく、もっと気軽に楽しい写真を撮るという方向に発達していったように思う。トイカメラやポラロイド風のカメラが人気だったのは、iPhoneのカメラの用途が、それらの方向性と親和性が高かったからだろう。いい写真を撮りたければ、一眼レフのデジカメや性能のよいデジカメを使えばいいだけであって、わざわざiPhoneを使って芸術的な写真を撮る必要はない、というのが普通の人の考えだったように思う。だからこそ、iPhoneではいかに上手く写真を撮れるかという行為ではなく、いかに写真を加工するかということに焦点が当てられてきたように感じる。しかし実際にはiPhoneの写真加工アプリなどは機能が限られているし、機能が充実したとしても、複雑な写真加工などiPhoneの画面上で出来るはずもない。だから白黒にするとか、セピア色にするとか、全体的にぼかすとか、その程度の限定的な加工しか出来なかった。その結果、加工技術で腕を競い合うというようなことはできず、単にトータルに写真を見て、その写真がいいか悪いかということが重要になってきたのではないかと思う。

 そこにきてInstagramが登場した。そこは綺麗な写真を撮って発表する場ではなく、普通の写真を綺麗に見せる場なのだ。つまりコンパクトカメラやデジカメの普及で写真を撮るという行為から写真自体にポイントが移ってきたこと、そしてトイカメラやポラロイドを楽しむ若者文化に似た写真文化が、限定された機能しか持たないiPhoneカメラで開花してきたことの、二つの事象が重なり合って、Instagramが流行しているのではないかと思う。

 それでは、Instagramは今後どうなっていくのだろう。Instagramが今後路線を変えずにいったら、半年ぐらいで人気は下降するのではないかと思う。その理由はInstagramでは綺麗でかっこいい写真だけにこだわりすぎているように見えるからだ。Instagramが他の写真共有サイトとの差別化をはかり多くのユーザーを増やすためには、どんな写真を共有するべきなのか?その辺りを、ツイッターと比較しながら、次回考えてみたい。



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私は、保守主義のコミュニタリアンです。文化相対主義を追求するなら、すべての文化を尊重する保守主義しかないと信じています。ただリベラルと保守はある程度両立する概念だと思っているので、基本的にはリベラルでもあります。なので、自分としては中道右派ぐらいのつもりです。日本が好きです。時々右よりの発言をします。でも危ない人間ではありません。構造主義が好きなのですが、ポストモダンも好きです。あとマルクスも好きです。

専門は考古学です。地理情報システム(GIS)や統計学、空間分析、文化人類学(特に宗教人類学と経済人類学)、社会思想、進化考古学、景観考古学、人文地理学、数理生物、行動生態学などを勉強してきました。CRMや少数民族の文化復興運動についてもいろいろと考えています。最近はサブカルチャー特にオタク文化に興味があります。経済学は大の苦手です。

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