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「オタクはすでに死んでいる」を読んだ

岡田斗司夫さんの「オタクはすでに死んでいる」を読んでみた。
結構すごいタイトルだが、彼の論点は、ずばり、

オタクがいなくなってしまったのではないか

ということだ。

でも、オタクってどんどん目立ってきているような気がするのだが。
アニメとかも昔はこんなにやってなかったし。
オタクがいなくなったとは、どういうことだろうか?
そもそも岡田さんのいうオタクとはいかなるものだったのか?
こういう疑問に答えるために、岡田さんはオタクを世代別に3タイプに分類した。

昭和30年代から40年代前半生まれがオタク第一世代と呼ばれる人たちだ。
彼らはテレビ世代として、子供の頃からテレビを見ていた。
そっから特撮などにはまって、オタクになっていったらしい。この頃のオタクは社会的に迫害されてはおらず、まあ好きな事を好きなだけしている、悟りを啓いた世捨て人みたいな感じだという。そして、一般の人たちに対しても優しく接する態度が見られる。もちろん、そこには優越感に似た感情もあるらしいが、知らない人(弱者)に手を差し伸べるやさしさと義務感も持っていた。このようなことから、岡田さんは彼らを貴族的タイプと呼んでいる。

次の世代は昭和40年代後半から50年代に生まれた人たちで、ガンダムとかエヴァンゲリオンが友達の世代だ。彼らもオタクとしての道を極めようと、ストイックに生きていたわけであるが、彼らの不幸は80年代後半から90年代にかけて青春時代を過ごしてしまったことだ。なぜなら、この時期に宮崎勤事件などで、オタクバッシングが激しくなったからである。彼らは社会からオタクというレッテルを貼られ、その重圧に耐えながら、それでもなおオタクでいることを選んだ人たちだ。この結果、彼らは極度なエリート意識を持たざるをえなかった。また、社会的に認められることを切望しており、特にアカデミックな後ろ盾を常に望んでいた。

それでは、最後の第三世代は、この2つのタイプとどのように違うのであろうか?前二者は貴族主義とエリート主義の違いはあるが、どちらもオタクとしての誇りを持っていた。またオタク同士仲間意識があったという。特に注目すべきことは、ミリタリーオタクやアニメオタクといった畑違いのオタク同士が、オタクという一つの仲間意識でつながっていたらしい。それが、今はない。
なぜなら、オタク第三世代は一般の人たちとどうこうではなく、純粋に自分の好みの世界に入り込んでいるからである。

つまりオタクの道などはどうでもいい。

オタク第三世代にとって重要なことは特定のキャラが自分にとって魅力的かどうか、ストーリーが自分にとって面白いかどうかといった具合なのである。
こっから

萌え

も出てくる。
つまり自分が楽しいと思えばそれでいいのだ。自分は自分、他人は他人。
むしろ他人と好みがすべて同じはずがない。
他人と完全に分かり合えるはずがないという考えを持っているらしい。だから、オタクとしての仲間意識も希薄であるという。仲間意識というよりも、むしろ他のオタクとの差異を強調したがるらしい。

岡田さんがオタク第三世代をオタクと認めたくないのには二つの理由がある。
一つ目はオタクはオタクの道を極めようという意気込みがあること。
二つ目は違うジャンルのオタク同士でも、オタクという仲間意識を持っていること。
オタク第一世代も第二世代も、この二つのことを暗黙のうちに了解していた。
しかし、いまや、個人の趣味レベルになってしまったオタク第三世代にとって、オタクの道も様々だし、オタクとしてひとくくりにされることに違和感を持ってしまう世代になってしまっているのだという。
だから、従来のオタクというものは、もはや存在しないのである。

この仲間意識(仲間だと信じている神話の共有)から多様性と差異を強調する個人への動きは、もちろんモダンからポストモダンの動きと軌を一にしていてとても興味深い。ちなみに岡田さんもすこし文明論的な解釈を加えている。こんな感じで、この本は、とても面白いです。

あと、オタク第二世代の人が社会に認められたくてアカデミックな後ろ盾を欲したというところが、個人的にとても共感できた。俺も、ホラー映画マニアとして、白い目で見られながらかくれてホラー映画を楽しんできたわけだが、事あるごとにホラー映画が社会にどれだけ貢献してきたかということを、社会思想とかを引き合いに出しながら力説してみせたりした。まあ、自分で言ってて自分の言ってる事が胡散臭いというレベルの議論しか出来ないから、説得力はないんだけど、それでも社会に認められたいという欲求は凄くわかる。これは、社会から迫害され続けていたものだけしか理解できないことだと思う。こういうこともあって、個人的にはオタク第二世代のオタク論は好きだなー。まあ、オタク第三世代のポストモダンっぽい個人主義も好きだけど。。。
まあ、そういうことで、オタク論に限定せず、文化論として興味がわいた人も、ぜひ読んでみてください。




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私は、保守主義のコミュニタリアンです。文化相対主義を追求するなら、すべての文化を尊重する保守主義しかないと信じています。ただリベラルと保守はある程度両立する概念だと思っているので、基本的にはリベラルでもあります。なので、自分としては中道右派ぐらいのつもりです。日本が好きです。時々右よりの発言をします。でも危ない人間ではありません。構造主義が好きなのですが、ポストモダンも好きです。あとマルクスも好きです。

専門は考古学です。地理情報システム(GIS)や統計学、空間分析、文化人類学(特に宗教人類学と経済人類学)、社会思想、進化考古学、景観考古学、人文地理学、数理生物、行動生態学などを勉強してきました。CRMや少数民族の文化復興運動についてもいろいろと考えています。最近はサブカルチャー特にオタク文化に興味があります。経済学は大の苦手です。

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